岡竜之介のブログ

岡竜之介のブログです。

入試に「フェルマーの最終定理」"Fermat's last theorem" in a university entrance exams

(I know that my English is not correct. If you correct my English, I get very happy.)

わりと有名な話なのでそこそこ既に語られた話ですが
This is a famous story and many people has already talked about this.


僕もこの話したいのでさせてください。
However, I want to talk about this, too. Let me do this.


僕はこの問題を、浪人時代に予備校の塾の先生から教えてもらいました。
I was taught this problem by my teacher in the cram school.

全文

「nを2より大きい自然数とするとき {x^n+y^n=z^n} を満たす整数解 {x,y,z(xyz \neq 0)} は存在しない」というのはフェルマーの最終定理として有名である.しかし多くの数学者の努力にもかかわらず一般に証明されていなかった.ところが1905年にこの定理の証明がワイルスの100ページを超える大論文と,テイラーとの共著により与えられた.
当然 {x^3+y^3=z^3} を満たす整数解 {x,y,z(xyz \neq 0)} は存在しない.

さてここではフェルマーの最終定理を知らないものとして次を証明せよ.

{x,y,z} を0でない整数とし,もしも等式 {x^3+y^3=z^3} が成立しているならば,{x,y,z} のうち少なくとも一つは3の倍数である.
1998年 信州大

"When n is a natural number bigger than 2, there is no integer solution of {x,y,z(xyz \neq 0)} ". This is famous as Fermat's Last Theorem. This had not been generally proved in spite of many mathematicians' efforts. However, in 1905, this was proved by Wiles paper which had more than 100 pages and Taylor and Wiles's book. Of course, there is no integer solution of {x^3+y^3=z^3}.

Here, assuming that you don't know Fermat's final theorem, prove this.

{x,y,z} are integers which are not zero. If {x^3+y^3=z^3} is true, at least one of {x,y,z} is multiples of 3.
1998 the university of shinshu

僕の反応

この問題を先生が紹介した時、僕はめちゃくちゃな問題だなと思いました。
When I heard this problem by my teacher, I thought this problem didn't make sense.


{x^3+y^3=z^3} を満たす整数解 {x,y,z(xyz \neq 0)} はないんですよ?
There is no integer solution of {x^3+y^3=z^3}, isn't it?


それをあると仮定してどうのこうのって、言ってる意味がわからない。
They say to assume that there is a solution. I can't understand.




そして先生はこう続けました。
And the teacher said...



「当時この問題を批判した人がいました」
"Some people criticized this problem."



なるほど。まあそうだろうなあ。
I see. I can understand them.




「でも、これはちゃんとした問題ですよ」
"However, this is a good problem."



なに?
What?


何故これがちゃんとした問題か Why is this a good problem?


その後先生の話を聞いて、僕も納得しました。
After that, I heard what the teacher said and I understood.



何かを仮定してそこから何か言うことは、何も論理的に間違ってないんですね。
Assuming something and saying something are logically good.



例えば、この問題は、フェルマーの最終定理の証明の一部になる可能性があるんですよ。
For example, this problem can be a part of the proof of Fermat's final theorem.



x,y,zの少なくとも一つが3の倍数になることが言えたら、
If it was proved that at least one of x, y and z was multiples of 3,


もしその後別の所から、x,y,zがどれも3の倍数でないケースが作れると、
and if the case was made that all of x, y and z are not multiple of 3,


矛盾が言えるので、仮定が間違ってることが証明できるんですね。
then it's contradiction and it is said that the assumption was incorrect.



その証明の一部になりうるのが、この問題なんですよ。
This problem can be a part of the proof.



フェルマーの最終定理の結論ありきで「存在しないものを仮定するな」なんて言うほうが、論理的に正しくないわけです。
It is not logically good to say "Don't assume what doesn't exist."



面白い。
interesting.


別解? Another solution?

この話を友人にした時に、彼が面白いことを言っていました。
When I talked this story to one of my friends, he said something interesting.


「この問題文の『フェルマーの最終定理を知らないものとして』っていうのがすごく重要だね。」
"The phrase 'assuming that you don't know Fermat's final theorem' is very important."


フェルマーの最終定理と、問題の仮定を合わせると、矛盾するから、そこからどんな命題も証明完了するよね。」
" We can make contradiction from Fermat's final theorem and the assumption of this problem. After that, we can prove everything."


なるほど!!
I see!!!


僕はそこに気付いてなかったので、それを聞いた時とても感心しました。
I didn't noticed that and I was impressed very much.


なるほどね。
I see.



フェルマーの最終定理を証明に使っちゃうと、この問題は一瞬で解けるんですね。
If we use the Fermat's final theorem, we can solve this problem in a blink of an eye.


ただ、フェルマーの最終定理の証明の一部にこの問題が含まれている場合、トートロジーになるので証明できないけど。
However, if this problem is used as a part of the proof of Fermat's final theorem, it's tautology and it can't be proven.



皆さん解けますか? Can you solve this?


ちなみにこの問題、普通に問題としても面白いです。
This problem is interesting as a math problem.


ごくごく素直にやろうとすると、ひっかかります。
If you try to solve naturally, you may be caught.


僕はひっかかりました。「あれ?できない。」ってなりました。
I was caught. I said "why I can't solve this?"


でも解決できる範囲のひっかかりなので、難易度もちょうどよいと思います。
I think the difficulty is jus right.


よかったら挑戦してみてください。
Why don't you challenge this?

2つの物体がエネルギーを交代でやりとりする奴を「うなり」と「振動モード」の観点から説明する

まずはこちらの映像を御覧ください。

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2つの物体が振動してますね。

そして、それぞれ勝手に振動しているのではなく


片方の振動が大きくなるともう片方は小さくなり、一瞬止まります。そしてまた振動し始める。

2つの物体が、エネルギーをやり取りしてるわけです!なんだこれは!!


(GIFの容量の関係で、ループする瞬間の所が若干見苦しいんですけども…。)

両方同時に大きく振動することはないですね。エネルギー保存の法則から言ってそれは理解できる。


こういう現象は、この形の2つの物体でなくても起こせます。振り子を2つ使ったり、1つの物体の回転運動と往復運動の間でエネルギーをやり取りさせたりすることもできます。

あ、この映像はシミュレーションですが、もちろん実際にできます。


実は、昨日と一昨日書いた記事は、この記事が書きたいがための準備でした!

すべてはこのため、この時のため!

【うなり】
agajo.hatenablog.com


【振動モード】
agajo.hatenablog.com



この「交互に止まったりまた動き出したりする」という現象が、不思議でしょうがなくてですね。


でも「うなり」と「振動モード」を理解すると、これが理解できるようになるので、どうしても解説したいんですね。なので聞いてください。

運動方程式を立てよう!


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【振動モード】の記事ではバネは3つとも同じバネ定数にしましたが、今回は真ん中だけ別のバネ定数にします。

物体は2つとも質量mです。


左の物体の位置をx1、それにかかる力をf1とします。右の物体が2ね。


{\displaystyle
f_1 = -(k_1+k_2)x_1 + k_2x_2 = m \ddot x_1 \\\
f_2 = k_2x_1 - (k_1+k_2)x_2 = m \ddot x_2
}

{\displaystyle
\begin{pmatrix}-(k_1+k_2) & k_2 \\k_2 & -(k_1+k_2)\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x_1 \\ x_2 \end{pmatrix} = m \begin{pmatrix} \ddot x_1 \\ \ddot x_2 \end{pmatrix}
}


xの上の点は時間微分です。2つ付いてるので二階微分。加速度のことですね。

固有値分解して解こう!

こういう連立微分方程式は「振動モード」に分解して、それぞれのモードについて普通に微分方程式を解くんでしたね。


計算過程は省略しますが、こいつは固有値分解すると、振動モードの記事の時と同じ{V=\begin{pmatrix}1 & 1 \\ 1 & -1\end{pmatrix}}という行列が出てきます。

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このケースでもこの2つの振動モードの重ね合わせになることを意味してます。

質量とかバネ定数をいじると必ずしもこのモードにはならないです。今回はたまたまです。左右対称な設定だからかな。




対角行列は{\Lambda=\begin{pmatrix}-k_1 & 0 \\ 0 & -k_1-2k_2\end{pmatrix}}となって、

{\displaystyle  \Lambda V \mathbf{x} = m V \ddot{\mathbf{x}} }


が成り立つんで、


{\displaystyle \Lambda \mathbf{x} = \begin{pmatrix}1 & 1 \\ 1 & -1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \end{pmatrix} }

{\displaystyle = \begin{pmatrix}x_1 + x_2 \\ x_1 - x_2 \end{pmatrix}}

{\displaystyle = \begin{pmatrix} y_1 \\ y_2 \end{pmatrix} = \mathbf{y}}


ってな感じでyを導入すると

{\displaystyle \begin{pmatrix}-k_1 & 0 \\ 0 & -k_1-2k_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix}y_1 \\ y_2\end{pmatrix} = m \begin{pmatrix} \ddot{y_1} \\ \ddot{y_1} \end{pmatrix}   }

つまり

{\displaystyle -k_1y_1 = m \ddot{y_1} }
{\displaystyle (-k_1-2k_2)y_2 = m \ddot{y_2} }

となります。


2階微分して、元の関数のマイナス定数倍になるので、三角関数です。

ちゃんと解くなら本当は定数を2ついれないといけないのですが、今日も振幅と位相は適当に決めちゃって、こんな感じにしてみよう。

{ y_1 = 2\cos\left(\sqrt{\frac{k_1}{m}}t\right)}
{ y_2 = 2\cos\left(\sqrt{\frac{k_1+2k_2}{m}}t\right)}


そしてここから、それぞれの物体の運動を求めると

{ x_1  =  \cos\left(\sqrt{\frac{k_1}{m}}t\right)}  + \cos\left(\sqrt{\frac{k_1+2k_2}{m}}t\right)
{ x_2  =  \cos\left(\sqrt{\frac{k_1}{m}}t\right)}  - \cos\left(\sqrt{\frac{k_1+2k_2}{m}}t\right)


できた!!

うなり

さてここで思い出してほしいのが、「うなり」の話です。


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このそれぞれの物体の動きを見ると、「振幅が大きくなったり小さくなったり」してますね。


これって、うなりの動きですよね!


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うなりは、「わずかに振動数の異なる波を重ね合わせると起こる」んでしたね。

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↓足し合わせると…
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ということはですよ!!


{ x_1  =  \cos\left(\sqrt{\frac{k_1}{m}}t\right)}  + \cos\left(\sqrt{\frac{k_1+2k_2}{m}}t\right)


この2つのcosの振動数を近づけてやれば良いわけです!

ということは、要するにtの係数がわずかに異なれば良いわけで、k1に対してk2が小さければいいですね。

ということで、適当に

k1=10
k2=1
m=1

とすると…

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おおおー!見事なうなり!!


もう一つの物体の運動も重ねてみましょう


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ものの見事に交代していますね!

まとめ

結局、この現象はどうして起こっているかというと

・全体の運動が2つのモードの重ね合わせで表され
・2つのモードの振動数が近いため、うなりが発生している

ということだったんです。


納得!!!

「振動モード」と「固有値分解」

あんまりガンガン表に出してないですが、僕の大学時代の専門は「構造力学」でして

今日はそこから、「モード」の話です。

「モード」と言っても流行とかモード学園の話ではありません。

今日使うモデル

まずはこちらの映像を御覧ください。

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2つの物体が不規則な動きをしてますね。

バネ定数と質量はこんな感じです。

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バネ定数は3つともkで、質量は2つともm。メチャクチャ分かりやすいですね。

あ、減衰は考えません。摩擦も空気抵抗もなし。


じゃあここからガンガン数式使っていきますね。


力とか位置とか加速度とかは全部右側を正とします。

まず2つの物体それぞれについて運動方程式を立てますよ。

左の物体の位置をx1、それにかかる力をf1とします。右の物体が2ね。

{\displaystyle
f_1 = -2kx_1 + kx_2 = m \ddot x_1 \\\
f_2 = kx_1 - 2kx_2 = m \ddot x_2
}

xの上の点は時間微分です。2つ付いてるので二階微分。加速度のことですね。

ということで、連立微分方程式になりました。これどうやって解くんでしょうね。

線形代数の力を使って対角化します

まず、この連立方程式を行列で表してみましょう


{\displaystyle
\begin{pmatrix}-2k & k \\k & -2k\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x_1 \\ x_2 \end{pmatrix} = m \begin{pmatrix} \ddot x_1 \\ \ddot x_2 \end{pmatrix}
}

さらにこれを適当に置き換えて

{\displaystyle
K \mathbf{x} = m \ddot{\mathbf{x}}
}

う〜んシンプル。良い。


で、唐突ですが、

{V=\begin{pmatrix}1 & 1 \\ 1 & -1\end{pmatrix}}

{\Lambda=\begin{pmatrix}-k & 0 \\ 0 & -3k\end{pmatrix}}

という2つの行列を用意するとですね

{\displaystyle
K = V^{-1} \Lambda V
}

と表せます。気になる人は計算してください。


いやどっから出てきたんだよそれー!!ふざけんなよー!!もー!!やんなっちゃうなぁー笑


と全員思ったでしょうが


大学1年の線形代数を勉強すると、どっから出てきたかわかります。ちゃんと「対角化」とか「固有値分解」っていうやり方があるんです。


{\displaystyle K \mathbf{x} = m \ddot{\mathbf{x}} }

に代入すると

{\displaystyle V^{-1} \Lambda V \mathbf{x} = m \ddot{\mathbf{x}} }


左からVを掛けると、mは定数なので

{\displaystyle  \Lambda V \mathbf{x} = m V \ddot{\mathbf{x}} }



ここで、{\displaystyle \Lambda \mathbf{x}}が左辺に、その二階微分が右辺に出てきました。


これをこうします。

{\displaystyle \Lambda \mathbf{x} = \begin{pmatrix}1 & 1 \\ 1 & -1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \end{pmatrix} }

{\displaystyle = \begin{pmatrix}x_1 + x_2 \\ x_1 - x_2 \end{pmatrix}}

{\displaystyle = \begin{pmatrix} y_1 \\ y_2 \end{pmatrix} = \mathbf{y}}

すると先の式はこう書けます。

{\displaystyle \Lambda \mathbf{y} = m \ddot{\mathbf{y}}}


成分でちゃんと表示してみましょうか。

{\displaystyle \begin{pmatrix}-k & 0 \\ 0 & -3k \end{pmatrix} \begin{pmatrix}y_1 \\ y_2\end{pmatrix} = m \begin{pmatrix} \ddot{y_1} \\ \ddot{y_1} \end{pmatrix}   }


最初の
{\displaystyle
\begin{pmatrix}-2k & k \\k & -2k\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x_1 \\ x_2 \end{pmatrix} = m \begin{pmatrix} \ddot x_1 \\ \ddot x_2 \end{pmatrix}
}

と比べると、左端の行列が対角化されてます。


行列形式をやめて、成分別の連立方程式になおしてみましょうか。

{\displaystyle -ky_1 = m \ddot{y_1} }
{\displaystyle -3ky_2 = m \ddot{y_2} }


あれ? これ、連立してないですね。

これは普通にそれぞれ微分方程式として解けますよ。

2階微分して、元の関数のマイナス定数倍になるので、三角関数ですね。

ちゃんと解くなら本当は定数を2ついれないといけないのですが、今日は振幅と位相は適当に決めちゃって、こんな感じにしてみよう。

{ y_1 = 2\cos\left(\sqrt{\frac{k}{m}}t\right)}
{ y_2 = 2\cos\left(\sqrt{\frac{3k}{m}}t\right)}


おお〜微分がなくなった!

そしたら今度は

{ y_1 = x_1 + x_2 =  2\cos\left(\sqrt{\frac{k}{m}}t\right)}
{ y_2 = x_1 - x_2 =2\cos\left(\sqrt{\frac{3k}{m}}t\right)}


をxについての連立方程式として解けば、完成です。

x1もx2も、2つの波の重ね合わせになります。


{ x_1  =  \cos\left(\sqrt{\frac{k}{m}}t\right)}  + \cos\left(\sqrt{\frac{3k}{m}}t\right)
{ x_2  =  \cos\left(\sqrt{\frac{k}{m}}t\right)}  - \cos\left(\sqrt{\frac{3k}{m}}t\right)


できた!!

片方の動きをグラフにするとこんな感じになります。右が時間軸ね。

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振動モード

線形代数的な手法で、それぞれの物体の動きを求めることが出来たけれども

途中に出てきた「y」ってなんなんでしょうね。


まずy1について考えてみよう。


{ y_1 = x_1 + x_2 =  2\cos\left(\sqrt{\frac{k}{m}}t\right)}


実はこれ、全体的な移動を表してるんですね。x1が右に行ってもx2が右に行っても、y1は大きくなるわけです。

両辺を2で割ってみると、重心の変位を表してることがよくわかります。

(もとのxが、それぞれの初期位置からの変位なので、重心についても位置ではなく初期位置からの変位を表してることに注意)

つまりこういうこと。

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それに対して、

{ y_2 = x_1 - x_2 =2\cos\left(\sqrt{\frac{3k}{m}}t\right)}

これは、2つの物体の対称的な運動を表してます。x1が左に移動し、x2が右に移動する時に、y2は大きくなるわけです。

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つまり!この2つの物体は、全体として見ると

「全体としての運動(重心の運動)」
「対称的な運動」

の2つの運動の重ね合わせで運動してるわけです!


なるほどね〜。

ちなみに周波数は、対称運動が全体運動のルート3倍なので、全体としては周期性のない運動をしてることになりますね。へ〜。


このそれぞれの運動を「モード」とか「振動モード」とか言います。

行列で表した運動方程式固有値分解・対角化すると、この「モード」が出てくるんですね。

この「モード」は結構理解しやすい運動を表していて、個々の物体はこの「モード」の重ね合わせで動きが決まるわけです。

以上!!

「うなり」と「和積公式」

うなり

高校物理で「うなり」というものを習いますね。

どういうものかというと

「周波数のわずかに違う2つの波を重ね合わせると、その2つの周波数の差を周波数として、振幅が大きくなったり小さくなったりする」

という現象ですね。

音で実際にやってみると、「ウワンウワンウワン」という響きがしてよくわかります。

何が起こっているかというと…

わずかに周波数がズレているから、ある所では同じタイミングで山や谷が来て強めあっていたものが、しばらくするとタイミングが逆になって弱め合うようになるんですね。

グラフで言うと

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こんな感じ。ここには2つのグラフが同じ座標上に書いてあります。周波数は 3.5 と 3.7 です。

これを実際に足し合わせた結果が

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こう。振幅が大きくなったり小さくなったりしてるのがよくわかります。

さて。

これ、なんで、うなりの周波数は「2つの波の周波数の差」になるんでしょうね。

それを式で考えてみましょう。

和積公式

三角関数の和積公式という公式があります。

{\displaystyle
\cos{x} + \cos{y} = 2 \cos {\frac{x+y}{2}} \cos{\frac{x-y}{2}}
}

こんな奴。他にも種類がありますが

全部、加法定理から導き出せるので、僕は受験生時代これをまったく覚えてませんでした。存在だけ知ってれば十分。

今も覚えてません。

さて、今ここに、先程の2つの波の式を代入してみましょう。

{\displaystyle
\cos{(3.7\cdot2 \pi x)} + \cos{(3.5 \cdot 2 \pi x)} = 2 \cos {\frac{3.7 \cdot 2 \pi x + 3.5 \cdot 2 \pi x}{2}} \cos{\frac{3.7 \cdot 2 \pi x - 3.5 \cdot 2 \pi x}{2}} \\
= 2 \cos {\cfrac{7.2 \cdot 2 \pi x }{2}} \cos{\cfrac{0.2 \cdot 2 \pi x }{2}} \\
= 2 \cos {(3.6 \cdot 2 \pi x)} \cos{(0.1 \cdot 2 \pi x )}
}

このうちの、{2 \cos{(0.1 \cdot 2 \pi x )}} を、先程のグラフに書き足すと、こうなります。

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おお!うなりを表す線が出てきた!

この線の周波数は0.1ですが、うなりの周波数はこの2倍になります。

この線の波長は谷→山→谷で測りますが、うなりの波長は大→小→大の部分で測るからです。

この線が谷→山→谷といく間に、うなりは大→小→大→小→大と2波長分ありますね。

ということで、うなりの周波数は結局0.2となり、これは元の波の周波数の差3.7-3.5に一致するわけです。

なるほど!

そして、この線に、周波数3.6(=3.7と3.5の平均)の波を掛けると、{2 \cos{(0.1 \cdot 2 \pi x ) \cos {(3.6 \cdot 2 \pi x)}}}となって、オレンジ色のグラフが得られます。

cosはsinは[-1,1]の範囲で振動するので、ある曲線fにこれを掛けると、fと-fの間で振動する曲線が得られるわけです。

結論

周波数の僅かに異なる2つの波を足し合わせると

その平均の周波数で振動し、その差の周波数のうなりを持つ波ができる。

そのことは、和積公式からわかる!

「自然数の集合のべき集合」と「実数の集合」が同じ濃度であることの証明

どうも。サンフランシスコからこんにちは。

なんでサンフランシスコにいるのに数学の記事書いてるの?って言うと、僕が趣味で勉強してるからです。

公立図書館に行って、数学やって、動画編集して、Google Earthのフライトシミュレーターで遊んで、帰ってくる。

そうですね。

日本でも出来ますね。

何しに来たんた!!まったく!!!!!

いや、あるんですよ、メリット。

僕今仕事も就活もなんにもしてないんですけど、

特に怒られたりしてないんですね。

日本で同じことやってたら「あんたこれからどうすんの」みたいなことをちょくちょく言われると思うんですが

サンフランシスコに来てるっていうだけで、別に通信機器は同様に使えるにも関わらず、言われなくなるっていうね。

はい。

ESTAの限界が来て滞在許可が切れたときに、きっと地獄を見るんでしょうね。

では数学の話です。

自然数の集合のべき集合」と「実数の集合」が同じ濃度であることって、知識としては知ってるけどちゃんと証明したことなかったりしますよね。

濃度?

集合の要素の個数のことです。でも無限集合だと「無限!」になってわけわかめなので、「濃度」という概念を使います。

概念。かっこいいですね。

単射 {f:A \to B} が存在したら、濃度は {|A| \leq |B|} です。

全単射があったら等しいです。全単射がなかったら等しくないです。両方から単射があったらそれは全単射があるから等しいわけですね。すごいね。

有限集合の「要素の個数」もこれを満たします。すごいね。

自然数の濃度

皆さんは友達が無限人いると思いますが、それらの友達を知り合った順に並べて1から番号を付けることができますね。

その友達の人数が、自然数の濃度です。{|\mathbb{N}}|と書きます。例が身近で分かりやすいですね。

人に番号を付けるなんて、囚人みたいですね。友だちを囚人扱いするなんてあなたは最低です。

実数の濃度

実数は身近な例ないです。

自然数→実数 の単射はあるけど(包含写像とかね)、実数→自然数単射はないので、

濃度で言うと 自然数<実数 です。{|\mathbb{N}| \lt |\mathbb{R}|}と書きます。

自然数のべき集合の濃度

皆さんはいつも「今日は誰とつるもうかな〜」なんて考えてますが

そのつるむ友だちの選び方の数が、自然数のべき集合の濃度です。

有限人呼んでもいいし、無限人呼んでもいいです。全員呼んだり一人も呼ばなかったりしてもいいです。

この濃度も、自然数の濃度より大きいです。

{|\mathbb{N}| \lt | \mathfrak{P} (\mathbb{N})|}と書きます。

Bかβみたいに見えますがPです。わかりにくいですね。

教科書にも出てきましたけど、ずっとBたと思ってましたよ。今この記事を書きながら、Pを入力したらこれが出たのではじめて知りました。

まだまだ皆さんの人生もこれから初めて知ることはたくさんあると思いますよ。

{ |\mathbb{R}| = |\mathfrak{P} (\mathbb{N})| }

はい。これを証明することが今日のテーマです。

ここまでは前提知識です。

前提知識、全然丁寧に解説してないのにやたら文字数を食っているのは何なんでしょうね。

余計な話をしてばかりいるからでしょうね。

よくあるんですよ、余計な話をして、後から「俺なんで今こんな話したんだろう」って後悔すること。

「相手に『この人はなんで今こんな話をしたんだ?』って思われてたらやだなあ」とか、思いますよね。

でも、多分、相手は僕やあなたにそんなに興味持ってないので、多分何も考えてないです。

だから大丈夫です。自信を持って明日を生きてください。

はい。

{\displaystyle
| (0,1] | = | \mathbb{R}| \tag{1}
}

まずこれが大事です。実数全体と(0,1)をタンジェントとかをうまく使って一対一対応させて、端っこの1については順次{\cfrac{1}{2^n}}に写すとかして対処すれば、全単射を作れます。

それができたら、

{\displaystyle
| (0,1] | = | \mathfrak{P}(\mathbb{N})| \tag{2}
}

を証明することで、題意{ |\mathbb{R}| = |\mathfrak{P} (\mathbb{N})| }を証明します。

まず、{\ (0,1\} |}の全ての元を、二進数の無限小数で表します。

0.011000110110…

みたいになりますね。

0.1

みたいな奴は

0.0111111111111111......

として表すことにします。決して0.100000000000000...にはしません。

これで、{\ (0,1] }の全ての元を、無限小数で一通りに表すことが出来ました。

この「一通り」が大事です。彼女も同意なしに2人作ると怒られますね。それとまったく同じです。

ちなみに、彼女の場合は同意があれば何の問題もありません。本人が決めることであって、他者がどうこういう話ではありません。

夫婦別姓とか同性婚とかの話も、本人が良ければそれで良いのです。他人が「こうあるべきだ」とか言う話ではありません。

ちなみに数学は同意してくれないので、一通りじゃなきゃダメです。

で。

この小数表示に対して、小数第何位に1があるかを調べて、その数字の集合を対応させます。

例えば

0.101010110... という小数に対しては

{1,3,5,7,8,...} という集合を対応させます。小数が無限小数なので、必ず無限集合になります。

おお!なんか、実数と自然数のべき集合が対応してきましたね!!

小数から自然数の無限集合がただ一つ定まるし、

逆に自然数の無限集合から、小数がただ一つ定まります!

でもまだダメです。

{\mathfrak{P}(\mathbb{N})}には、有限集合も含まれてます。

あとは、{\mathfrak{P}(\mathbb{N})}と、ここから有限集合を抜いたものの濃度が等しいことを言えば、完了です。

ここで、{\mathfrak{P}(\mathbb{N})}を3つの部分に分けます。

有限集合を集めてA1にします。

A1の補集合を集めてA2にします。A2の要素は全部無限集合です。

それ以外は全部A3にします。

A3は、それ自体も、その補集合も無限集合になるような奴が集まってるってことですね。

A1とA2とA3に被りはなく、A1∪A2∪A3は{\mathfrak{P}(\mathbb{N})}に一致します。

はいここで

A1は、要素の合計が小さい順に並べて、同じ合計値のものは辞書順に並べると、自然数の番号を振ることが出来るので、自然数と一対一対応が作れますね。

今度は同じ番号を、A1の要素の補集合の方に振っていくと、A2と自然数の集合の一対一対応が作れますね。

さらに。今度はA1の要素に番号を振っていくときに、その補集合にも交互に番号を振っていくことにします。

すると、今度はA1∪A2にも、自然数との一対一対応が作れましたね。

はい、これで |A1∪A2| = |A2|が言えました。

ということは、両辺に「∪A3」を付け足すと

|A1∪A2∪A3| = |A2∪A3| ですね。

これで、{\mathfrak{P}(\mathbb{N})}と、ここから有限集合を抜いたものの濃度が等しいことが言えました!

結局、辿ったルートとしては

{\displaystyle
 |\mathbb{R}| = |A2 \cup A3| = |A1 \cup A2 \cup A3|   = |\mathfrak{P} (\mathbb{N})|
}

ってことになります。

以上!!!!お疲れ様でした!!!!

極限集合の解釈(イプシロンデルタ風に)

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集合列の行き着く先

極限集合って知ってます?

極限、というと、普通は数列で

{\displaystyle
a_1, a_2, a_3, \cdots, a_n, \cdots
}

と無限に続く、その行き着く先、というイメージです。

その行き着く先を

{\displaystyle
\lim_{n \to \infty}a_n
}

と書いたりしますが〜

これに対して、集合の列

{\displaystyle
A_1,A_2,A_3,\cdots,A_n,\cdots
}

に対しても、その極限という概念があります。

集合の場合は、極限といっても2つの概念があって、それぞれ「上極限集合」「下極限集合」と呼ばれています。

なんですが〜

この「上極限集合」「下極限集合」の説明が、

まぁ〜何言ってんだか意味がわかんないんですね!!

ほら!Yahoo!知恵袋でも困ってる!

集合列の上極限集合と下極限集合の定義の意味が... - 数学 | Yahoo!知恵袋

上極限集合

僕の手元にあるこちらの本

集合と位相 (数学シリーズ)

集合と位相 (数学シリーズ)

を例に考えてみましょう。

集合列{\{E_n\}}の上極限集合の定義はこう書いてあります。

{\displaystyle
\limsup_{n \to \infty}E_n = \bigcap_{k=1}^{\infty} \bigcup_{n=k}^{\infty}E_n
}

うん。まあなんというか。

意味わかんないよね。

えっと、まず、k番目から無限番目までEnの和集合をとって?

それから、今度はkを自然数全体で動かしながらその共通部分をとる?

ん〜〜〜〜がんばってイメージしようとしてもなかなかピンときません。

この時点でピンと来る人はすごいです。僕は来なかったです。

Wikipediaにもちょっと書き方は違いますがこれが載ってます。

そして、この上極限集合について、日本語でこう説明が加えられています。

上極限集合は無限個のEnに属す元全体の集合である。

……

ん〜〜〜?????

なんかこう、わかるようなわからないような………

つまりこう、Enってのは無限個あるわけで、そのうちの無限個に属してるような元xを、全部集めた集合が、上極限集合ってことか

ん〜。ふむ。でもそれが何で

{\displaystyle
\limsup_{n \to \infty}E_n = \bigcap_{k=1}^{\infty} \bigcup_{n=k}^{\infty}E_n
}

になるのかがまたよくわからん。

下極限集合

下極限集合は、こんな感じです。

{\displaystyle
\liminf_{n \to \infty}E_n = \bigcup_{k=1}^{\infty} \bigcap_{n=k}^{\infty}E_n
}

下極限集合は有限個のEjを除いて、それ以外のすべてのEnに属す元全体の集合である。

ふむ。上極限集合と同じような感じですね…。わかるようなわからないような…。

定義を導いてみよう!

結局、この{\bigcap}とか{\bigcup}に無限がついたようなものが並んでるからわけがわからないんですよ。

ここはひとつ、定義から追ってみよう。

積集合の場合

{\bigcap_{n=k}^{\infty}E_n}という集合は、次のように書くことができます。

{\displaystyle
\bigcap_{n=k}^{\infty}E_n = \{x \mid \forall m \geqq k \ \ \  x \in E_m\}
}

意味は、「k以上のすべてのmについて、xがEmに含まれる。そんなx全体の集合」です。

ようするに、Ek, Ek+1, Ek+2, … の全部に含まれる元の集合。

つまり共通部分ですね。

和集合の場合

和集合の場合はこうです。

{\displaystyle
\bigcup_{n=k}^{\infty}E_n = \{x \mid \exists m \geqq k \ \ \  x \in E_m\}
}

意味は、「k以上のどれかしらのmについて、xがEmに含まれる。そんなx全体の集合」です。

ようするに、Ek, Ek+1, Ek+2, … のどこか1つでいいから含まれているような元の集合。

つまり和集合ですね。

極限集合の定義を書き下す!

では、いよいよ、これらを使って極限集合の定義を書き下してみましょう。

{kとかnとかmとかlとか文字}が添字として出てきますが、すべて1以上の整数に限定しますからね。

上極限集合

{\displaystyle
\limsup_{n \to \infty}E_n \\
\displaystyle = \bigcap_{k=1}^{\infty} \bigcup_{n=k}^{\infty}E_n \\
\displaystyle = \bigcap_{k=1}^{\infty} \{x \mid \exists m \geqq k \ \ \  x \in E_m\} ←和集合を定義に戻す。\\
\displaystyle = \{x \mid \forall l \ \ \  x \in \{x \mid \exists m \geqq l \ \ \ x \in E_m\}\} ←積集合を定義に戻す。\\
\displaystyle = \{x \mid \forall l \ \ \ \exists m \geqq l \ \ \  x \in E_m\}
}

最後の変形は一瞬わかりにくいですが、よく見ると

{\displaystyle
\{x \mid x \in \{ x \mid f(x)\}\}\\
=\{x \mid f(x)\}
}

という変形をしています。

意味は「『条件f(x)を満たすxの集合』に含まれる元xの集合」を「条件f(x)を満たすxの集合」に直してるだけです。

さて。

結局、上極限集合は

{\displaystyle
 \{x \mid \forall l \ \ \ \exists m \geqq l \ \ \  x \in E_m\}
}

と書き換えることが出来ました。

めちゃくちゃスッキリしましたね!

意味は、

「どんな自然数{l}を持ってきても、それ以上の{m}が存在して、xがEmに含まれる」そんなxの集合。

ようするに、どんなに添字の大きなEnを持ってきても、その先のEnたちのどこかに必ずxが含まれている、ってことです。

イプシロンデルタ論法みたいですね!

これはかなり理解しやすいんじゃないでしょうか?

さらに、この理解を得た上で、この定義式と当初の日本語を見比べて見ましょう

{\displaystyle
 \{x \mid \forall l \ \ \ \exists m \geqq l \ \ \  x \in E_m\}
}

上極限集合は無限個のEnに属す元全体の集合である。

かなり意味がわかりやすくなったと思います。

一応、この日本語と、この定義式が同じ意味を持つことを証明すると↓

(定義式→日本語)
もしxが有限個のEnにしか含まれないとすると、そのうち添え字が最大のEnを持ってくれば、それより大きな添字を持つEnにはxは含まれない。

(日本語→定義式)
それより添字が大きなEnにxが含まれないような添字mが存在するとすると、xは最大でもm個以下(有限個)のEnにしか含まれない。

下極限集合

下極限集合の場合もほとんど同じです。

{\displaystyle
\liminf_{n \to \infty}E_n \\
\displaystyle = \bigcup_{k=1}^{\infty} \bigcap_{n=k}^{\infty}E_n \\
\displaystyle = \bigcup_{k=1}^{\infty} \{x \mid \forall m \geqq k \ \ \  x \in E_m\} \\
\displaystyle = \{x \mid \exists l \ \ \  x \in \{x \mid \forall m \geqq l \ \ \ x \in E_m\}\} \\
\displaystyle = \{x \mid \exists l \ \ \ \forall m \geqq l \ \ \  x \in E_m\}
}

結局、下極限集合の定義は、こういうことになります。

{\displaystyle
 \{x \mid \exists l \ \ \ \forall m \geqq l \ \ \  x \in E_m\}
}

意味は、ある添字を持つEnをとってくると、それより大きな添字を持つEnにはずーっとxが含まれている、ということ。

これが、先程の日本語

下極限集合は有限個のEjを除いて、それ以外のすべてのEnに属す元全体の集合である。

の意味だったんですね。

並べてみると

{\displaystyle
 \limsup_{n \to \infty} E_n= \{x \mid \forall l \ \ \ \exists m \geqq l \ \ \  x \in E_m\}
}

{\displaystyle
 \liminf_{n \to \infty} E_n= \{x \mid \exists l \ \ \ \forall m \geqq l \ \ \  x \in E_m\}
}

めちゃくちゃ対称的で綺麗ですね。

極限集合

さて。

もしこの上極限集合と下極限集合が一致する場合、それを「極限集合」と呼んで

{\displaystyle
\lim_{n \to \infty} E_n
}

と書きます。う〜んシンプル。

でもこの2つ、どういう時一致してどういう時一致しないんでしょうね?

ここで、実は、次の性質が成り立ちます。

{\displaystyle \limsup_{n \to \infty} E_n \supset \liminf_{n \to \infty} E_n }

簡単に言うと、{\displaystyle\liminf_{n \to \infty} E_n}に含まれる元は、ある添字より大きな添字を持つ全てのEnに含まれてるので、当然無限個あるわけです。ということは当然{\displaystyle\limsup_{n \to \infty} E_n}にも含まる条件も満たす。OK?

ベン図で言うと、片方の◯がもう片方の◯にすっぽり収まってるわけです。

で、この2つが一致するということは、

{\displaystyle\limsup_{n \to \infty} E_n}には含まれるが{\displaystyle\liminf_{n \to \infty} E_n}には含まれないような元が、存在しなければ良い!

ベン図で言うと、外側の◯よりは内側にあって、かつ、内側の◯より外のエリアに、元が存在しないってこと。

この時、上極限集合と下極限集合は一致します。邪魔な元がいないわけですね。

では、この邪魔な元というのはどういう奴なのかというと。

まず外側の◯(上極限集合)には含まれるので、次の条件を満たします。

{\displaystyle
  \forall l \ \ \ \exists m \geqq l \ \ \  x \in E_m \tag{1}
}

そして、次の条件(下極限集合の元か満たす条件)を、満たしません。

{\displaystyle
  \exists l \ \ \ \forall m \geqq l \ \ \  x \in E_m
}

これを満たさないということは、これの否定を満たすわけです。それはどんな条件になるかというと

{\displaystyle
  \forall l \ \ \ \exists m \geqq l \ \ \   x \notin E_m \tag{2}
}

あれ。なんか、(1)と(2)は良く似ていますね。

この(1)と(2)をまとめると、こういうことになります。

{\displaystyle
  \forall l \ \ \ \exists m,n \geqq l \ \ \   x\in E_m \land x \notin E_n \tag{3}
}

どういう意味かというと、

「どんなに大きな添字lを持ってきても、それより添字が大きい集合Eの中に、xを含む奴と含まない奴がある。」

ってことです。いつまでたっても入るのか入らないのかはっきりしない奴ってことですね。

こういう奴がいると、上極限と下極限は一致せず、「極限集合」は存在しないわけです。

具体例

nが偶数のときは{\displaystyle 2 \in E_n}で、nが奇数の時は{\displaystyle 2 \notin E_n}だとします。

そうすると、この2は、いつまでたっても(どれだけ添字を大きくしても)、集合Enに含まれたり含まれなかったりするので、この時、上極限集合と下極限集合は一致しません。

2は上極限集合には含まれるけど、下極限集合に含まれないですね。

具体例2

En = [1/n,1]とします。

すると、0よりちょっとでも大きい数は、添字nを大きくするといつか必ずEnに含まれるし、

一度含まれたら、それより大きい添字nを持ってくると必ずEnに含まれます。

いつまでも入るか入らないかはっきりしないような奴はいないわけです。

すると!上極限集合と下極限集合は一致して、その極限集合は(0,1]となります。0はずっと含まれないですからね。

モンティ・ホール問題改

僕が勝手に「モンティ・ホール問題改」と呼んでいる問題を紹介します。

そもそも「モンティ・ホール問題って何?」と言う方は、先のこの記事を読んでしまうと

ネタバレになって、「モンティ・ホール問題」の面白さが削がれてしまうので、

先に「モンティ・ホール問題」をググってきてください。

で、納得感を得た上でこの記事を読んで下さい。

というのも、モンティ・ホール問題の時点でそこそこややこしいんですよ

なので、「モンティ・ホール問題はわかったぞ!」と感じられてから読み進めてくださいね。

では、問題です。

3つのコップABCからビー玉入りの1つを選ぶゲームをします。 あなたはAのコップを選びました。 その時、風が吹いてBのコップが少し浮き、Bが空だとわかりました。 出題者はそのことに気付いていません。 ここで出題者は「本当にAでいいの?変えてもいいよ。」と言ってきました。 あなたはCに選択を変えるべきでしょうか?

Bに変えようと思ったあなたは問題文をちゃんと読んでないか、ひねくれてます。

問題は、Cに変えることで、正解する確率を上げられるのかどうか。

ちょっと考えてみてください〜。

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