「完全数」って何が面白いの???→完全数みたいな概念を量産する
完全数とは
完全数とは「約数のうち自身を除いたものの和が自身に等しい」ような数のことです。
例えば6は、約数が1,2,3,6なので、このうち6以外を足すと1+2+3=6で、6自身に等しくなります。
だから6は完全数です。
完全数はなかなかに珍しく、1から100万までの中に
6, 28, 496, 8128
の4つしかありませんし、現在までに51個しか見つかっていません。
「偶数の完全数は無数に存在するか?」「奇数の完全数は存在するか?」という問題は未解決で、しばしば話題に上がります。
……それはいいんですが……。。。。。。
「完全数」って何が面白いの???
数学好きを名乗りながらお恥ずかしいのですが、昔から思ってる疑問を言っちゃいます。
— 岡竜之介 (@agajo) 2021年6月30日
完全数って何が面白いの?
「完全数」って何が面白いの???
「自身以外の約数の和が自身に等しい」という性質ってなんか、すごく人工感があるというか…それに注目する意味がわからないというか…
「自身を除く約数の和」の「自身を除く」っていうのも、ご都合主義感あるし…
「珍しい」は注目する理由として一理あるけど、「珍しい性質」なんて無限に作れそうというか…
…のようなツイートをした所…。
少しズレてますけど、偶数の完全数はメルセンヌ素数と一体一対応していて、さらにメルセンヌ素数や双子素数などの特殊な素数の無限性を一気に証明できる「シンツェル仮説」というものもあります
— F (@F_mathnote) 2021年7月1日
奇数の完全数は未発見なので、これが「ない」ということになれば、完全数とメルセンヌ素数は一対一対応します。
メルセンヌ素数は便利な素数判定法があって、コンピューターサイエンス上も重要な応用があったりして有意義ですよね。
となればそれと一対一に対応する(と思われる)完全数も有意義と言えそうです。
…タイトルの疑問、解決してんじゃねぇか!!
…ということですいません。煽りタイトル付けました。
本題はここからです。
「珍しい性質が無限に作れるか」を考えるのは楽しそう🙂
— 岡竜之介 (@agajo) 2021年6月30日
「自身以外の約数の和が自身に等しい」みたいな『珍しい性質』を無限に作れるかどうか考えるのは楽しそう😀!
こういう「珍しい性質」を大量に作れるのであれば、「完全数」なんてone of themであり、大して重要な性質ではない!(メルセンヌ素数と一対一に対応する?ちょっと忘れましたね……)
完全数の定義を言い換えて一般化する
「約数のうち自身を除いたものの和が自身に等しい」
は
「約数の和が、自分自身の2倍に等しい」と言い換えられます。
となると、
「約数の和が、自分自身のn倍に等しい」と一般化できそうですね????
実は既にそういうものは考えられておりまして
「倍積完全数」というようです。
それらの性質をWikpediaから引用すると…
k倍完全数が無数に存在するかどうかは分かっていないが、3倍完全数は6個、4倍完全数は36個、5倍完全数は65個、6倍完全数は245個がそれぞれ発見されており、これより多くは存在しないと言われている。
例えば3倍完全数は100万までの範囲には3つあり、現在までに全部で120, 672, 523776, 459818240, 1476304896, 51001180160の6個が発見されていますが、この6個しかないかどうかはまだわかっていないようです。
なんだ、「完全数」なんて「2倍完全数」とか「3倍完全数」とか「300倍完全数」とかいくらでも考えられる中の、単に「2」の場合に過ぎないじゃないか!
倍積完全数の定義を言い換えて一般化する
さらに広げてみましょう。
倍積完全数の定義
「約数の和が、自分自身のn倍に等しい」
は、
「約数の和と自分自身が n:1 の比になる」
と言い換えることができます。
ということは
「約数の和と自分自身が a:b の比になる(a,bは互いに素な正の整数) 」
と一般化できそうですね?
通常の完全数は(a,b) = (2,1) の場合です。100万までに4つあります。
3倍完全数は(a,b) = (3,1) の場合です。100万までに3つあります。
ここまでを踏まえて、こんな問題を考えることができそうです。
今回考える問題
1から100万までの数を「a:b = 約数の和 : その数自身」という比によってグループ分けする。
もっと多くのグループメンバーを持つ比(a:b)は何か。
これが、完全数の 2:1 が一番多くて、あとはみんなグループメンバーがそれより少なくなるようにバラバラになるなら、完全数は確かに注目に値すると言えそうです。
でも、そこそこメンバーを獲得するグループが多数出てくるようなら、完全数なんてそれらのグループの一つに過ぎないわけですね??
ということで。
調べてみました。1から100万までの数を「約数の和 : その数自身」という比によってグループ分けしてみました。
そのTOP10を発表したいと思います!
グループメンバーの多かった「比」ランキング!TOP10!
同率一位
(8 : 3), [84, 270, 1488, 1638, 24384]
(12 : 5), [30, 140, 2480, 6200, 40640]
(16 : 5), [420, 7440, 8190, 18600, 121920]
(32 : 11), [924, 2970, 16368, 18018, 268224]
(48 : 17), [1428, 4590, 25296, 27846, 414528]
(48 : 19), [570, 2660, 47120, 117800, 772160]
(52 : 15), [1260, 22320, 27000, 55800, 365760]
(56 : 15), [16380, 290160, 351000, 669600, 725400]
(64 : 23), [1932, 6210, 34224, 37674, 560832]
(80 : 29), [2436, 7830, 43152, 47502, 707136]
(112 : 41), [3444, 11070, 61008, 67158, 999744]
(144 : 55), [330, 1540, 27280, 68200, 447040]
(160 : 57), [1596, 5130, 28272, 31122, 463296]
(168 : 65), [390, 1820, 32240, 80600, 528320]
(216 : 85), [510, 2380, 42160, 105400, 690880]
(288 : 115), [690, 3220, 57040, 142600, 934720]
(304 : 111), [3108, 9990, 55056, 60606, 902208]
以上17グループ、グループメンバー数5で同率一位!
いや同率一位多いな!
しかも完全数の(2:1)は1位じゃないのかよ!
ということで。同率一位だけでTOP10は超えました。
どうやら完全数の(2:1)というのは特別メンバーの多いグループというわけでもなさそうです。
もちろん、特別メンバーの少ないグループというわけでもない(このランキングの下位には、メンバーになる数字が1つしかないグループが並ぶ)
つまり完全数というのは、今回考えたグループ分けの a:b = 2:1 のグループに注目したに過ぎない!
なんだ!やっぱり全然大した性質じゃないじゃないか!
…いや、メルセンヌ素数と一対一に対応するのは十分注目に値する性質な感じがします。タイトルでふざけてすいませんでした。
感想
ところで、グループメンバー数が多くなる「比」に全然脈絡がないように見えるのですが、何か法則が隠れているんですかね??
(8 : 3)
(12 : 5)
(16 : 5)
(32 : 11)
(48 : 17)
(48 : 19)
(52 : 15)
…
100万までで切っているので、もっと大きな数までやると違う並びになる可能性も大いにあるので、現状のこの並びには意味がないのですが、
とはいえ、何か「約数の和 : その数自身」という比として現れやすい比があるのかな?と。
どうでしょう。