岡竜之介のブログ

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2つの物体がエネルギーを交代でやりとりする奴を「うなり」と「振動モード」の観点から説明する

まずはこちらの映像を御覧ください。

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2つの物体が振動してますね。

そして、それぞれ勝手に振動しているのではなく


片方の振動が大きくなるともう片方は小さくなり、一瞬止まります。そしてまた振動し始める。

2つの物体が、エネルギーをやり取りしてるわけです!なんだこれは!!


(GIFの容量の関係で、ループする瞬間の所が若干見苦しいんですけども…。)

両方同時に大きく振動することはないですね。エネルギー保存の法則から言ってそれは理解できる。


こういう現象は、この形の2つの物体でなくても起こせます。振り子を2つ使ったり、1つの物体の回転運動と往復運動の間でエネルギーをやり取りさせたりすることもできます。

あ、この映像はシミュレーションですが、もちろん実際にできます。


実は、昨日と一昨日書いた記事は、この記事が書きたいがための準備でした!

すべてはこのため、この時のため!

【うなり】
agajo.hatenablog.com


【振動モード】
agajo.hatenablog.com



この「交互に止まったりまた動き出したりする」という現象が、不思議でしょうがなくてですね。


でも「うなり」と「振動モード」を理解すると、これが理解できるようになるので、どうしても解説したいんですね。なので聞いてください。

運動方程式を立てよう!


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【振動モード】の記事ではバネは3つとも同じバネ定数にしましたが、今回は真ん中だけ別のバネ定数にします。

物体は2つとも質量mです。


左の物体の位置をx1、それにかかる力をf1とします。右の物体が2ね。


{\displaystyle
f_1 = -(k_1+k_2)x_1 + k_2x_2 = m \ddot x_1 \\\
f_2 = k_2x_1 - (k_1+k_2)x_2 = m \ddot x_2
}

{\displaystyle
\begin{pmatrix}-(k_1+k_2) & k_2 \\k_2 & -(k_1+k_2)\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x_1 \\ x_2 \end{pmatrix} = m \begin{pmatrix} \ddot x_1 \\ \ddot x_2 \end{pmatrix}
}


xの上の点は時間微分です。2つ付いてるので二階微分。加速度のことですね。

固有値分解して解こう!

こういう連立微分方程式は「振動モード」に分解して、それぞれのモードについて普通に微分方程式を解くんでしたね。


計算過程は省略しますが、こいつは固有値分解すると、振動モードの記事の時と同じ{V=\begin{pmatrix}1 & 1 \\ 1 & -1\end{pmatrix}}という行列が出てきます。

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このケースでもこの2つの振動モードの重ね合わせになることを意味してます。

質量とかバネ定数をいじると必ずしもこのモードにはならないです。今回はたまたまです。左右対称な設定だからかな。




対角行列は{\Lambda=\begin{pmatrix}-k_1 & 0 \\ 0 & -k_1-2k_2\end{pmatrix}}となって、

{\displaystyle  \Lambda V \mathbf{x} = m V \ddot{\mathbf{x}} }


が成り立つんで、


{\displaystyle \Lambda \mathbf{x} = \begin{pmatrix}1 & 1 \\ 1 & -1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \end{pmatrix} }

{\displaystyle = \begin{pmatrix}x_1 + x_2 \\ x_1 - x_2 \end{pmatrix}}

{\displaystyle = \begin{pmatrix} y_1 \\ y_2 \end{pmatrix} = \mathbf{y}}


ってな感じでyを導入すると

{\displaystyle \begin{pmatrix}-k_1 & 0 \\ 0 & -k_1-2k_2 \end{pmatrix} \begin{pmatrix}y_1 \\ y_2\end{pmatrix} = m \begin{pmatrix} \ddot{y_1} \\ \ddot{y_1} \end{pmatrix}   }

つまり

{\displaystyle -k_1y_1 = m \ddot{y_1} }
{\displaystyle (-k_1-2k_2)y_2 = m \ddot{y_2} }

となります。


2階微分して、元の関数のマイナス定数倍になるので、三角関数です。

ちゃんと解くなら本当は定数を2ついれないといけないのですが、今日も振幅と位相は適当に決めちゃって、こんな感じにしてみよう。

{ y_1 = 2\cos\left(\sqrt{\frac{k_1}{m}}t\right)}
{ y_2 = 2\cos\left(\sqrt{\frac{k_1+2k_2}{m}}t\right)}


そしてここから、それぞれの物体の運動を求めると

{ x_1  =  \cos\left(\sqrt{\frac{k_1}{m}}t\right)}  + \cos\left(\sqrt{\frac{k_1+2k_2}{m}}t\right)
{ x_2  =  \cos\left(\sqrt{\frac{k_1}{m}}t\right)}  - \cos\left(\sqrt{\frac{k_1+2k_2}{m}}t\right)


できた!!

うなり

さてここで思い出してほしいのが、「うなり」の話です。


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このそれぞれの物体の動きを見ると、「振幅が大きくなったり小さくなったり」してますね。


これって、うなりの動きですよね!


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うなりは、「わずかに振動数の異なる波を重ね合わせると起こる」んでしたね。

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↓足し合わせると…
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ということはですよ!!


{ x_1  =  \cos\left(\sqrt{\frac{k_1}{m}}t\right)}  + \cos\left(\sqrt{\frac{k_1+2k_2}{m}}t\right)


この2つのcosの振動数を近づけてやれば良いわけです!

ということは、要するにtの係数がわずかに異なれば良いわけで、k1に対してk2が小さければいいですね。

ということで、適当に

k1=10
k2=1
m=1

とすると…

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おおおー!見事なうなり!!


もう一つの物体の運動も重ねてみましょう


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ものの見事に交代していますね!

まとめ

結局、この現象はどうして起こっているかというと

・全体の運動が2つのモードの重ね合わせで表され
・2つのモードの振動数が近いため、うなりが発生している

ということだったんです。


納得!!!