「うなり」と「和積公式」
うなり
高校物理で「うなり」というものを習いますね。
どういうものかというと
「周波数のわずかに違う2つの波を重ね合わせると、その2つの周波数の差を周波数として、振幅が大きくなったり小さくなったりする」
という現象ですね。
音で実際にやってみると、「ウワンウワンウワン」という響きがしてよくわかります。
何が起こっているかというと…
わずかに周波数がズレているから、ある所では同じタイミングで山や谷が来て強めあっていたものが、しばらくするとタイミングが逆になって弱め合うようになるんですね。
グラフで言うと
こんな感じ。ここには2つのグラフが同じ座標上に書いてあります。周波数は 3.5 と 3.7 です。
これを実際に足し合わせた結果が
こう。振幅が大きくなったり小さくなったりしてるのがよくわかります。
さて。
これ、なんで、うなりの周波数は「2つの波の周波数の差」になるんでしょうね。
それを式で考えてみましょう。
和積公式
三角関数の和積公式という公式があります。
こんな奴。他にも種類がありますが
全部、加法定理から導き出せるので、僕は受験生時代これをまったく覚えてませんでした。存在だけ知ってれば十分。
今も覚えてません。
さて、今ここに、先程の2つの波の式を代入してみましょう。
このうちの、 を、先程のグラフに書き足すと、こうなります。
おお!うなりを表す線が出てきた!
この線の周波数は0.1ですが、うなりの周波数はこの2倍になります。
この線の波長は谷→山→谷で測りますが、うなりの波長は大→小→大の部分で測るからです。
この線が谷→山→谷といく間に、うなりは大→小→大→小→大と2波長分ありますね。
ということで、うなりの周波数は結局0.2となり、これは元の波の周波数の差3.7-3.5に一致するわけです。
なるほど!
そして、この線に、周波数3.6(=3.7と3.5の平均)の波を掛けると、となって、オレンジ色のグラフが得られます。
cosはsinは[-1,1]の範囲で振動するので、ある曲線fにこれを掛けると、fと-fの間で振動する曲線が得られるわけです。
結論
周波数の僅かに異なる2つの波を足し合わせると
その平均の周波数で振動し、その差の周波数のうなりを持つ波ができる。
そのことは、和積公式からわかる!